臨床研究

患者様・ご家族様へ後ろ向き研究へのご協力のお願い

当科では、過去の臨床経験をもとに新たな知見を見出し未来の診療に生かすため、過去の記録を振り返って解析を行う「後ろ向き研究」も実施しております。
この「後ろ向き研究」のために、当院の倫理委員会の承認を得たうえで、当科で診療・治療を受けられた患者様の臨床データを使用させていただきます。個人情報の保護には十分注意し、個人が特定されない方法でデータの処理を行います。研究結果は学会や専門誌において公表されることがありますが、患者様個人のお名前や、個人を特定できるような情報は一切公表いたしません。ご自分のデータを使用されたくないとお考えの方は、各研究期間の間に下記の事務局までご連絡ください。研究への参加を断られた場合でも、患者様が不利な扱いを受けることはありません。当科での診療・治療の面で、将来的に不利益を被ることもありません。また、研究期間を過ぎた場合でも、可能な限りご希望に沿った対応をいたします。
皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

【お問い合わせ】
事務局 徳島大学病院麻酔科
TEL:088-633-7181
代表:田中克哉(麻酔科 科長)

徳島大学病院麻酔科で行う後ろ向き研究一覧

研究課題
帝王切開の周術期管理に関する後方視的研究
研究概要
本邦において、帝王切開の頻度は増加しており、近年では出産する約4人に1人が帝王切開を受けている。帝王切開の麻酔は、麻酔科医が関わる頻度の高い術式の一つであり、妊産婦および新生児の安全のため、質の高い麻酔管理が求められている。
本研究では、過去に当院で帝王切開を受けた患者において、脊髄くも膜下麻酔を用いた麻酔管理の効果や課題を明らかにすることを目的とする。具体的には、体格、年齢、妊娠週数、胎児数、妊娠に伴う合併症といった患者固有の要因や、麻酔の方法、使用された薬剤、麻酔科医師の臨床経験年数など、麻酔管理に関わる多様な要因が、周術期の母体および新生児の転帰にどのように影響を与えたのかを調査する。本研究により、帝王切開における麻酔の質と安全性を一層向上させるための有益な知見を得ることが期待される。(情報公開文書リンク
対象
2019年5月から2023年10月までの間に麻酔科管理にて帝王切開の手術を受けた症例
研究責任者
木下倫子
研究課題
術後疼痛管理チーム介入についての後方観的観察研究
研究概要
全身麻酔下の手術を受ける患者は、手術前後に麻酔科医による診察を受ける。術後の診察に関して、当院では従来、手術室業務の合間に各手術の担当麻酔科医によって行われていたが、専門のチームが運営する施設も存在する。令和4年度からは術後疼痛管理チーム加算が導入され、当院でも令和5年4月からチームが新たに設立された。このチームは対象となった患者の術後診察を行い、鎮痛や副作用に対して適宜介入を行う。チームの立ち上げにより、麻酔科医の業務負担が軽減され、看護師や薬剤師などの専門職との協力によって、より質の高いケアが可能となった。
術後疼痛管理チームを運営している施設は多岐にわたるが、チーム発足前後で術後患者の比較を行った調査はこれまでに行われていない。今回我々はチームが設立される以前と比較して、チームの介入により術後の患者の疼痛が改善したか、副作用の発生率が減少したかに関して調査を行う。(情報公開文書リンク
対象
2023年1月から2023年6月までの間に全身麻酔下の手術を受け、術後疼痛管理チームが介入する基準に該当する症例
研究責任者
木下倫子
研究課題
周術期麻酔管理を行う特定看護師の行為についての後方的観察研究
研究概要
高度急性期医療における他職種との協働がスムーズに実践できることを目的として、「日本麻酔科学会特定行為パッケージ研修」が開始されている。当院でも、これまで周術期管理チームとして、麻酔管理看護師や周術期外来を立ち上げ活動している。その中で、日本麻酔科学会特定行為パッケージ(術中麻酔管理領域)研修を修了した看護師が誕生し、現在麻酔科専門医とともに術中管理を行っている。その業務は基本的に行為手順書に従うものとしており、安全な麻酔管理に重要な役割を果たしていると考えている。今回我々は特定看護師がどのような場合に、麻酔科医へ追加の連絡を行い対応をしていたのか、過去のデータをもとに調査する。本研究では、2021年8月から2023年5月までの間に全身麻酔下で手術を受けられた方を対象としている。手術麻酔管理を麻酔科専門医と特定看護師が管理した症例を対象に調査を行い、カルテを後方的に検索し分析する。(情報公開文書リンク
対象
2021年8月から2023年5月までの全身麻酔管理を特定看護師と麻酔科専門医が担当した症例
研究責任者
木下倫子
研究課題
全身麻酔方法の違いが修正電気痙攣療法に与える影響について検討する後方視的観察研究
研究概要
電気痙攣療法は、躁鬱病および統合失調症等、精神疾患において効果が見込まれる治療法である。施行に先立って全身麻酔を施し、患者さんが寝ている間に行う。しかし、全身麻酔に用いる鎮静薬(眠る薬)は、電気痙攣療法の作 用を減弱する作用も持っているため、薬の種類や量の選択は慎重に行っている。本研究では、過去(2010年11月から2020年11月)に全身麻酔下で電気痙攣療法を施行された患者の電子カルテおよび麻酔記録から、血圧や脈拍、 麻酔にかかった時間等のデータを抽出し、麻酔薬によってこれらに違いがあったかどうかを検討することを目的としている。また、麻酔薬の違いにより、電気痙攣療法の効果に影響を与えたかどうかも解析する。(情報公開文書リンク
対象
2010年11月から2022年10月に当院で全身麻酔下で電気痙攣療法を施行された患者
研究責任者
木下倫子
研究課題
徳島大学病院における最近15年間の麻酔管理とその影響に関する比較検討
研究概要
当院では2003年から電子麻酔記録を導入しており、全ての症例を含めて15年分で約88400件の麻酔記録が保存されている。また、手術室での麻酔管理に関してここ10数年で新たな麻酔薬・デバイスが日本で承認され、当院でもデスフルラン、レミフェンタニル、スガマデクス、McGRATH MACなどが導入されている。新たな麻酔薬やデバイスは麻酔管理をより安全なものとしている可能性があるが、その具体的な影響について大規模な比較検討を行った研究は少ない。本研究では、2003年6月以降当院で手術を受けた患者を対象に調査を行い、術中に使用した薬剤の種類やデバイスが、患者のvitalデータ(脈拍、血圧、SpO2など)や、麻酔の導入や覚醒に要した時間、合併症の頻度など、麻酔管理に与える影響について後方視的に解析することを目的とする。
対象
2003年6月から2019年3月までの間に当院で手術を受けた患者
状況・研究発表
終了・発表準備
研究責任者
田中克哉
研究課題
徳島大学病院における経皮的内視鏡下椎間板摘出術への麻酔科関与が術中呼吸・循環管理に及ぼす影響
研究概要
経皮的内視鏡下椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Discectomy:PED)は椎間板ヘルニアに対する手術であり、非常に侵襲が小さいため局所麻酔下に施行することも可能である。徳島大学病院においても2014年7月以降局所麻酔下に施行されてきたが、中には手術中に痛みを訴え、血圧が非常に高値になったり手術の完遂が難しくなったりする症例があった。そのため2017年8月以降、麻酔科が手術中の全身管理を担う症例がでてきた。本研究では、局所麻酔下にPEDを施行した患者を対象に調査を行い、術中に麻酔科が関与した場合の呼吸・循環管理に与える影響について後方視的に解析することを目的とする。
対象
2017年8月以降2019年3月までの間に徳島大学病院で経皮的内視鏡下椎間板摘出術(PED)を施行された患者
状況・研究発表
終了・発表準備
研究責任者
田中克哉
研究課題
食道がん手術後の呼吸状態に影響を及ぼす因子の検討
研究概要
胸部食道がんの手術において胸腔鏡を使用し、胸腔内操作を行うことが一般的であるが、片肺換気が長時間となることで術後の呼吸状態の悪化につながることが予想される。近年、縦隔鏡下に食道剥離操作を行うことにより、片肺換気の時間を短縮し、臓器や血管・神経損傷も減少させることにより術後の呼吸状態の改善につながる可能性がある。呼吸器疾患などを合併する患者に対して縦隔鏡補助下非開胸食道抜去術において良好な術後結果を得たという報告がある。しかし、縦隔鏡を使用することによる食道がん術後の呼吸状態への影響は検討されていない。本研究では、食道がんの患者のうち縦隔鏡もしくは胸腔鏡下食道切除術を受けた患者を対象に調査を行い、縦隔鏡の使用を含めた術後の呼吸状態に影響を与える因子について後方視的に解析することを目的とする。この目的達成ため各患者の酸素化の推移を調査し、術式による酸素化の違いや、そのほかの要因による酸素化の違いを観察評価する。
対象
2016年4月~2018年7月までに内視鏡補助下での食道がん手術を実施された患者
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
田中克哉
研究課題
当院における 超緊急帝王切開の麻酔
研究概要
一般的に産科医が麻酔科医へ超緊急帝王切開術の申し込みを行ってから、胎児娩出までの時間(callto barth)は30 分以内であることが理想であるとされている。当院では超緊急帝王切開術に迅速に対応するため、24時間院内待機の体制を採用している。ただし、30分以内という時間はあくまでも努力目標であり、厳密に測定されている訳ではない。ゆえに、現在の待機体制で、どの程度目標が達成されているかは不明である。本研究では、どの程度目標達成ができているか、改善すべきところがあるかについて後方視的に検討する。
対象
当院で、2016年4月1日~2018年7月1日の間に緊急帝王切開術を受けた患者
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
田中克哉
研究課題
手術関連時間に影響を及ぼす諸因子の検討
研究概要
手術関連時間には手術時間、麻酔時間、在室時間、患者入室から手術開始までの時間、手術終了から患者退室までの時間、患者退室から次の患者入室までの時間、予定手術時間と実施手術時間の差など様々な時間がある。手術関連時間は、手術を効率的に実施するためのスケジューリングなど手術部運営に関係するだけでなく、安全管理あるいは経営的観点からも重要である。それらに影響を及ぼす因子は手術・麻酔など手技上の要因だけでなく、新しい医療機器、麻酔関連薬剤の導入など多岐にわたるが詳細な検討は少ない。2003年6月から2018年3月までに徳島大学病院で実施された医科手術約7万5千例を対象として、後ろ向きにどのような因子が手術に関連する時間にどのように影響を与えるのかを検討する。
対象
2003年6月~2018年3月に本院で、医科麻酔科管理で手術を受けた方
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
富山芳信
研究課題
制吐剤の術後嘔気・嘔吐に与える影響
研究概要
これまで術後の悪心・嘔吐: Postoperative nausea and vomiting (PONV)は、発生頻度が高いにもかかわらず、患者の生命予後に影響が少なく見過ごされて来た。しかし、今日の医療現場において患者の生活の質を保つことは重要であり、PONVの発生予防は術中・術後管理の必須因子の一つとなっている。そのため、しばしば術中術後に制吐剤を使用する。そこで、制吐剤の有効性を明らかにするために、当科で全身麻酔による麻酔管理を行った患者を対象に、その効果を調査することで制吐剤のPONVに与える影響を明らかにする。
対象
2016年11月から2018年3月まで当院において全身麻酔をうけた方を対象とする。
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
堤保夫
研究課題
徳島大学における硬膜外麻酔後経過の調査
研究概要
徳島大学病院における、硬膜外麻酔実施後の術後疼痛、術後の嘔気嘔吐などを調査する。術式にそった硬膜外鎮痛法を検討するため基礎データを集積し、今後の診療の改善を目指す。
対象
2016年2月から2018年3月まで当院において手術を受けた方のうち術後硬膜外鎮痛を実施された方を対象とする。
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
田中克哉
研究課題
徳島大学における麻酔後経過の調査
研究概要
麻酔方法と術後疼痛の状況、嘔気嘔吐の有無、および麻酔への満足度の関連や、手術内容や麻酔方法と併発症の有無との関連を総合的に統計学的に評価する。
対象
2015年2月から2016年3月まで当院において麻酔管理を受けた方を対象とする。
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
田中克哉
研究課題
徳島大学における麻酔後経過の調査
研究概要
麻酔方法と術後疼痛の状況、嘔気嘔吐の有無、および麻酔への満足度の関連や、手術内容や麻酔方法と併発症の有無との関連を総合的に統計学的に評価する。
対象
2014年10月から2016年7月まで当院で麻酔管理を受けた方を対象とする。
状況・研究発表
終了・学会発表準備
研究責任者
田中克哉
研究課題
乳房切除術におけるブロック療法の鎮痛効果の検討
研究概要
当院で乳房切除術をうけた患者から、全身麻酔で行った患者と全身麻酔にブロック療法の併用を行った方を選定する。この2つのグループについて術中の麻酔薬使用量や術後の鎮痛薬使用頻度を比較し、ブロック療法が術中、術後の鎮痛に関与しているかを後ろ向きに検討する。
対象
2013年4月から2014年6月において当院で乳房切除術を全身麻酔でうけた方と全身麻酔にブロック療法を併用した方を対象とする。
状況・研究発表
終了・学会発表
研究責任者
片山俊子