ごあいさつ
はじめに
私は、2014年10月1日に麻酔・疼痛治療医学分野教授を拝命致しました。徳島大学麻酔科の使命は、地域の患者さんが安心で安全な医療を受けられるように、特に安全な手術が受けられるようにすることです。最先端の手術術式や重症な患者さんの周術期管理も安全に行える麻酔科医の集団を目指しています。また、近年、麻酔科医の業務は単に手術室の麻酔のみならずペインクリニックや緩和医療など関連領域にも広がっています。そのために、私の使命は、優秀な麻酔科医を育てて徳島県を中心とした地域の患者さんの医療に貢献することです。私の中では優秀な麻酔科医とは、優れた知識や技術を習得していることだけでなく、患者さんの気持ちに寄り添えることができ、同僚や他科の医師、コメディカルのスタッフと協調してチーム医療の中で信頼されるリーダーとして振る舞える優れた人格を持っていることを指しています。
徳島大学麻酔科での教育
信頼される麻酔科医になるためには、一つ一つの症例を丁寧に診ていくしかありません。徳島大学麻酔科では、個々の症例をきめ細かく術前診察を行い、医学的あるいは社会的に問題のある困難な症例では、まず、麻酔科の上級医と問題の解決法に関して考え、必要なら主科と入念なコミュニケーションをとっています。判断に迷う場合は、患者さんにとって最善の方法はどれかということを最優先するようにしています。毎朝のカンファレンスで全員にそれぞれの症例の問題点の共有を行っています。また、術後回診で問題があった症例も朝のカンファレンスで報告し問題点の共有をしています。術後問題が生じた場合、麻酔科全体で患者さんにとってベストな対応を全力で取り組んでいます。そのような姿勢をスタッフがとることによって、後期研修医は人格のともなった麻酔科医になっていけると信じています。
知識やスキルに関しては、日々の麻酔の症例を大事に担当すること以外に、毎週月曜日の朝の抄読会や年数回のセミナーを開催して全国からその道の専門の先生をお招きして、スキルや知識の習得をしています。毎朝カンファレンスを行う部屋の一角には、麻酔科専門医試験の実技試験に用いられるシミュレーターをいくつか整備しているので、いつでも気管挿管や硬膜外麻酔などのシミュレーションを行うことができます。スタッフが後期研修医、初期研修医、医学部生に手技のトレーニングを行っています。また、麻酔科のスタッフは後期研修医も含めて、全員テーマを決めて順番に初期研修医にミニレクチャーを行っています。これは、初期研修の先生にとって勉強になるだけでなく、後期研修医の先生も教えることで改めて知識の整理ができ彼らにも勉強になると感じています。日本麻酔科学会専門医試験の前になると、その年の受験生や今後専門医試験を受ける後期研修医に対して、前年の受験者と私で実施試験や口頭試験に対する模擬試験を行い、日本麻酔科学会が専門医として要求しているレベルを実感してもらい、そのレベルを超えていくことを目標としています。
徳島大学麻酔科での研究
麻酔のスペシャリストを目指していると、日々の臨床で疑問点が生じることがあります。徳島大学麻酔科では、そのような疑問点をみんなで議論し、報告されていないことであれば可能な限りで、医師主導の臨床研究を行うように心がけています。きちんと院内の倫理委員会を通して、ルールに則って臨床研究を行います。本や学会で聞いてきた知識を鵜呑みにせず、自らデータを取れば新しいことが見えてくることがあります。一つ一つの小さい臨床の疑問点を評価、解決することは麻酔科学の発展、患者さんの安全に関与します。そのような臨床研究をやってみることで、基礎研究や海外留学を目指して10年20年後の医療の大きな発展に貢献できる人を一人でも多く輩出することが希望です。また、徳島大学麻酔科は、これまで麻酔薬が循環生理、冠循環に及ぼす影響について、たくさんの偉大な先生方が素晴らしい基礎研究を行ってきました。これらの研究も継続していきたいです。地方大学である徳島大学から世界に向けてこれまでも発信してきましたが、さらに新しい情報を発信することを目指しています。
徳島大学病院麻酔科医局の環境
徳島大学病院は、2015年秋に新外来棟が完成して手術室が2室増室され14室となり、ハイブリット手術室も完成しました。中央診療棟の手術室とは専用の連絡橋を通って行き来することができます。麻酔科管理症例は、毎年増加し、2015年は約4300件でした。手術室増室のため今後も手術件数は増加することが予想されます。忙しい中にもやりがいがあって楽しい職場でないと仕事が楽しくできません。それぞれの人が専門医をめざす、学位取得をめざす、心臓血管麻酔、小児麻酔、産科麻酔、ペインクリニック、緩和医療、集中治療などのサブスペシャリティーをめざすなど個々の目標を持ち、質の高い医療を提供するというモチベーションを持って、厳しい中にも楽しい雰囲気で仕事ができるようにしています。また、子育て中の女性医師は、自分のできる範囲で質の高い医療の提供、スキルの向上をしてもらっています。
徳島大学麻酔科で仕事してみませんか?
徳島は気候が温暖で食べ物がおいしく海、山、川、自然が豊かで、温かい人が多い土地です。阿波おどりは、世界に誇る祭りで徳島大学麻酔科も毎年1日ますい連として阿波踊りに参加し、おどる阿呆になっています。徳島は自然豊かな土地柄ですが、意外に関西に近く、大鳴門橋、明石大橋を通れば神戸まで約2時間、大阪まで2時間30分です。高速バスも充実していて徳島と関西を結ぶ高速バスは、なんと1日100往復以上と大変便利です。東京も飛行機で約1時間です。都会での生活に飽きて田舎で働いてみたい人、都会にほどほど近い田舎で働きたい人、徳島・四国出身者で戻ってきたい人、ぜひ、一緒に仕事しませんか?私たちと麻酔のスペシャリスト、周術期関連領域のスペシャリスト、ペインクリニック、緩和領域のスペシャリストを目指してみませんか?興味がある方は、ご連絡ください。